不動産相続・手続きの流れPROCEDURE FLOW
不動産相続の手続きの流れは4ステップ
不動産相続の手続きがどのような流れで進むか、4つのステップに分けてご紹介します。
それぞれのステップで相続する人が知っておくべきポイントも解説いたします。
ステップ1相続する財産、相続人を確認する
まずは、不動産の登記状況や預貯金、株式、借金などの資産と、相続人を確認します。相続財産や相続人が後になって新たに出てくると論争になってしまうこともあるので、相続財産や相続人の確認は、相続の専門家に依頼するとよいでしょう。
遺言書がある場合、勝手に開封してはいけません。遺言書を開封するには、家庭裁判所の検認手続きが必要です。また2020年からスタートした、自分で書いた遺言書を法務局に預けておく「自筆証書遺言書保管制度」を利用している場合は、交付の申請が必要になります。詳しくは法務局のホームページで確認してください。
相続人が複数いる場合や遺言書がない場合の不動産の相続は、相続人全員で行う「遺産分割会議」によって不動産の所有者を決め、相続登記に進みます。
ステップ2遺産の分割協議をする
遺産分割協議とは、相続人全員で、どのように遺産を分けるかを決める話し合いのことです。相続人が自分1人だけの場合は必要ありません。
不動産を分ける主な方法は3つあります。
- 換価分割
- 不動産を売却して、現金化したものを遺産分割する方法
- 代償分割
- 1人が不動産を相続し、ほかの相続人にその不動産の価値を現金化したものを支払う方法
- 共有分割
- 相続人全員が共有財産として相続する方法
相続する方法は遺言書に指定があればそれに従います。また、協議で決めた内容は遺産分割協議書にまとめます。この遺産分割協議書を行うことで正式に遺産が相続人のものになるのです。
ステップ3不動産所有者の名義変更をする
不動産を相続するには所有権移転登記をし、名義変更をする必要があります。名義変更は遺産分割協議が終わったタイミングで行い、必要書類を揃えて法務局に申請します。必要書類は遺言書や相続人などによって異なりますが、主に以下のようなものがあります。
- 相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、住民票
- 被相続人(死亡した人)の戸籍謄本、住民票
- 不動産の固定資産税評価証明書、登記事項証明書
- 遺産分割協議書(遺言書が存在する、または法定相続分で相続することが決まっている場合は不要となるケースある)
これらの書類は法務局や役場などに取り寄せが必要なうえ、相続人が多いほど揃える書類が増える手間がかかります。不動産の相続には、申告期限があるため、早めに準備をしておきましょう。また、相続の手続きは自分で行えますが、正しく手続きを行わないと、法的に認められないこともあるため、司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士のご紹介はさっぽろ相続相談窓口 ワンストップ5にお任せください。
ステップ4相続税の申告・納付をする
相続財産の価格が、後述する基礎控除を超えた場合は申告が必要になります。相続税を納めるのに必要な申告書の作成は税理士に依頼するのが一般的です。
注意したいのが、申告期限は被相続人が死亡した翌日から10ヶ月以内ということです。申告期限を超えてしまうと無申告加算税と延滞税を納めなくてはいけないため注意しましょう。
また、納付方法は金融機関の窓口が一般的ですが、税務署の窓口やクレジットカード、コンビニでも支払うことができます。
不動産相続のお金のことABOUT MONEY
不動産の相続で支払う2種類の税金
建物や土地などの不動産を相続したときには「登録免許税」と「相続税」の2種類の税金を支払う必要があります。
『登録免許税』について
不動産の所有権を登記する場合や、抵当権を登記する場合に、登記所で納付する国税のことです。
登録免許税は一般には「登記料」などと呼ばれることも多いです。
登録免許税は、原則的には現金で納付し、その領収証書を登記申請書に貼付しますが、その税額が3万円以下の場合には印紙によって納付することも可能です。
『相続税』について
相続や遺贈によって取得した財産に対して賦課される税をいいます。
この場合の財産には、相続時精算課税制度の適用を受けて贈与により取得した財産を含みます。
納税義務者は財産を取得した者ですが、税額の算定に際しては各種控除などが適用されるので、十分な注意が必要です。
税負担の軽減について(相続税の節税対策)
生前贈与をする
生前に財産を分けておくことで、相続後に課税される財産を減らすことができます。
これを生前贈与といいます。
生前贈与を行う場合、110万円/年間までは税金がかかりません。
生前のなるべく早い段階から地道に110万円を超えない範囲で贈与を行うことで、節税対策になります。
贈与税の配偶者控除
結婚生活20年以上(婚姻届を提出した日から贈与するまで)の夫婦については、土地、家屋、金銭の贈与について2,000万円まで贈与税が課税されません。
これを贈与税の配偶者控除といいます。
贈与を受けて非課税となるものは、居住用の土地(借地権を含む)または家屋や居住用の不動産を購入するための金銭です。
生前に非課税財産に転換しておく
相続財産とされる財産とされない財産が存在します。
所持している財産を生前にうちに相続財産とされない財産に転換しておくことで、本来余分にかかってしまう相続税を軽減させることができます。
評価額の高い財産から低い財産に転換する
相続財産の評価の仕方は、財産ごとに異なります。
評価の仕方が割安なものを中心に財産の形成を行うことで、相続税を抑えることが可能です。
貸家(マンション)を建てる
土地や建物を賃貸している場合、それらの不動産は、通常自分で所持・使用する場合と比較すると、利用する上で制限があるため、評価額が割安になります。
また、建物を建てるために銀行から借金をした場合等、それらの資金は相続財産から控除することが可能です。
小規模宅地等の課税の特例を利用する
亡くなった親族から相続した家・マンション・事業所などが、それまで居住や事業のために使用されていた場合、一定の要件を満たすことで相続税の負担を軽減することができます。
気を付けるポイントPOINTS TO WATCH OUT FOR
ここまで必要な税金などについて解説してきました。
不動産の相続で気をつけるポイントも把握しておくことも重要です。
相続税の申告・納税には期限がある
相続税の申告・納税は、相続開始後10カ月という期限があるので気をつけましょう。
申告だけでなく、納税の期限も10カ月です。
遺産分割協議が期限内に成立していないため、3年以内の分割見込書を提出することになったとしても、一旦は期限内に申告・納税しなくてはなりません。
ただし、東日本大震災で被害を受けた方などは、申告・納税の期限が延長や納税の猶予等を受けられる税制上の措置があります。
期限を過ぎたらペナルティがある
万が一、期限を過ぎてしまったら、「無申告加算税」というペナルティがあります。
延滞税の加算だけでなく、財産を差し押さえられてしまう可能性もあるので、期限は過ぎないように気をつけましょう
。差し押さえの対象は遺産だけでなく、相続人自身の財産も対象になってしまいます。
無申告加算税は、原則として、納付する税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を掛けて算出します。
税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合は、無申告加算税が5%の割合を掛けて算出した額に軽減されます。
ただし、平成29年1月1日以後に法定申告期限になるものは、調査の事前通知後にした場合、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%の割合を掛けて算出することが可能です。
相続開始前3年以内の贈与等は相続税が課せられる
相続開始前3年以内の贈与や遺贈は相続税が課せられます。
この場合、亡くなる前の贈与なので贈与税だと思われがちですが、贈与されてから3年以内に亡くなった場合は、贈与税ではなく相続税になるのです。
これは、相続税対策のための駆け込み贈与の対策として定められました。
贈与税であれば、年間110万円以内の贈与の場合は非課税になりますが、相続開始前3年以内の贈与は相続税になるので関係ありません。
例え110万円以内の贈与であっても、相続開始前3年以内であれば、相続税の対象になります。
ただし、非課税の財産もあるので、全ての贈与が相続税になるわけではないということも知っておきましょう。
相続税額が2割加算される場合がある
被相続人との関係により、相続税額が2割加算される場合があります。
2割加算される人とは、「配偶者以外の人」及び「被相続人の一親等の血族(代襲相続人の孫である直系卑属を含む)以外の人」です。
逆に2割加算されない人は、被相続人と関係が深い「配偶者」及び「被相続人の一親等の血族(代襲相続人を含む)」ということになります。
もっと具体的に例を挙げると、2割加算される人は「兄弟姉妹、甥、姪、祖父母、代襲相続人ではない孫、被相続人の養子の孫(代襲相続人は除く)、遺贈をもらう友人など」で、2割加算されない人は「夫、妻、父母、子、代襲相続人の孫」です。